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リレー連載(vol.26)「民法のトピックー民法と憲法違反―」(上河内千香子准教授)

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法学部専任教員によるリレー連載、第26弾は上河内千香子准教授です。

20130319hg_kamigouchi_01.jpg 民法というのは、個人と個人の関係を規律している法律です。例えば、何か人から物を買った場合(売買契約)、大家さんからアパートを借りた場合(賃貸借契約)、結婚した場合、養子縁組をした場合、民法の条文が適用されます。このような民法の条文、あるいは、制度の一部について憲法違反の疑いがもたれているものがあり、最近、裁判所で憲法違反の判決が出されたり、あるいは、出されるのではないか、と考えられているものがあります。今日は、そのいくつかを紹介しましょう。

(1)まず、最近、東京地方裁判所で憲法違反という判決がだされたものがあります。それは、「成年後見制度」についてのものです。成年後見制度は、民法上の制度ですが、簡単に言えば、精神障害などにより正常な判断ができなくなった人(成年被後見人)の財産を成年後見人という立場の人が管理するというものです。しかし、この成年後見制度を利用した場合、公職選挙法により成年被後見人の選挙権が失われることとなっているため、それが憲法違反ではないか、ということが裁判所で争われ、認められました。

(2)もう一つ、近いうちに、最高裁判所で憲法違反という判決が出されるのではないか、と言われているものがあります。それは、法律上の結婚(=婚姻)をしていない男女間に生まれた子供(非嫡出子)の相続分に関する民法の条文が憲法違反ではないかというものです。

 例えば、結婚をしているA男とB女との間にはC子という子供がいたにもかかわらず、実はA男はD女と不倫関係にあり、E子という子供をもうけており、その状態でA男が死亡してしまったとします。この場合、現在の民法の条文によれば、結婚外で生まれたE子のA男の財産の相続権はC子の半分、ということになっています。これは、法律上の結婚(=婚姻)を法が保護するという理由からそうなっているのですが、C子とE子は共にA男の子供でありながら、親であるA男の財産の相続権に差が設けられているということになり、このことは、憲法の「法の下の平等」に反するのではないか、ということがかなり前から問題になっていたのです。この問題についても、近いうちに最高裁判所で憲法違反の判断が下される可能性があると言われています。

(1)の成年後見の問題は、大学の法学部の講義では、「民法総則」という講義で、(2)の相続の問題は、「親族相続」の講義で勉強することとなります。いずれも、私たちの生活に非常に身近な問題だといえます。       


 オープンキャンパスでの上河内先生の模擬講義は3/27(水)です。「行方不明者の法律問題 ―もし生きて帰ってきたら...―」でお話しします。集合時間は13時です。事前申し込みは不要です。皆様のご来場を心よりお待ちしています。        


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