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'14サマースクール型AO講師からのメッセージ(4)

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法学部准教授 松平 光徳

 2014年8月24日(日)、サマースクール型AOの講義を担当した松平です。今回は、(1)発明を保護する特許制度はなぜ必要なのか、そして、(2)特許権に賞味期限(20年)があるのはなぜかについて問題にしました。

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 (1)のポイントは、「発明」という有益な情報をもっとも多く産み出し、それを効果的に活用できる方法は何か、という点から考えてみることです。もし発明という情報を誰かのものにするという仕組みがなければ、苦労して面白いアイディアを考え出しても他人に真似されたくないと考えて、それを「秘密」にしてしまうかもしれません。それではせっかくのアイディアが埋もれてしまう。反対に自分の発明を独占的に利用することができれば、発明家にとってばく大な利益を生み出すチャンスになって、それが効果的にアイディアを産み出す刺激になる、だから特許は必要だというわけです。

 (2)の問題については、もし権利の期間があまりにも短いと、せっかくのアイディアもすぐに真似されて発明した人が報われなくなる。そうすると、苦労して発明しようと思う人が減り、人々の役に立つ発明が世の中に出てこなくなってしまうかもしれない。反対に、もし権利の期間が長すぎれば、ある発明品を改良して新しい発明をしたとしても、大昔の特許権のせいで製品として売ることができない。そうすると新しい発明が産み出されず、かえって技術進歩を妨げることになってしまうかもしれない。そのバランスが、現在のところ長くても20年ということになっているわけです。
 すべての発明はいずれ時代遅れになります。どんなに素晴らしいアイディアであったとしても、より効果的な新しいアイディアにとって替わられる運命にあります。技術とはそういうもので、必ず賞味期限があるのです。

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 今回のサマースクールの課題については、特許制度の仕組み、そのカラクリについて理解できているかを問題にしました。少し難しいテーマでしたが、集中力が勝負のカギを握るといえそうですね。


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